シャギーアオルタ症候群とは、大動脈の内側にできたコレステロールのかたまり(粥腫)がはがれ、その細かな破片が血流に乗って足の細い血管を詰まらせてしまう病気です。その結果、突然足の指に強い痛みが出たり、紫色に変色したりし、やがて潰瘍や壊疽へと進行することがあります。
これは「微小粥腫塞栓症(アテローム微小塞栓)」が原因です。
大動脈の動脈硬化が進行すると、内側に形成された粥腫が大きくなり、表面がくずれてしまうことがあります。くずれた粥腫の破片は血流に乗って流れ出し、足の指の非常に細い血管に入り込んで閉塞を起こします。
詰まる血管は極めて細いため、カテーテルや手術で取り除くことはできません。そのため、体が自然に微小循環を回復させるのを待つしかありません。この間、数か月にわたって強い痛みが続くことがあり、鎮痛薬や神経ブロックによって痛みを和らげます。
やがて微小循環が回復してくると、痛みは次第に軽くなります。そして壊死してしまった部分と生きている組織との境目がはっきりしてきます。これを分界線形成といいます。
壊死部分の切除は、この分界線が明瞭になってから行うのが適切です。痛みが強い時期や分界線が形成される前に切断や壊死切除を行うことは避けるべきです。
治療の要点
- 急性期
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発症後2〜3か月間は強い疼痛が持続するため、鎮痛管理を中心に行います。
坐骨神経ブロックやチュービング療法、必要に応じてSmithwick神経遮断術を検討します。
同時に強力なスタチン投与を行います。 - 回復期
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微小循環が回復してくると、通常3〜6か月後には疼痛が消失し、壊死部分と正常組織との境界(分界線)が明瞭になります。
分界線形成後に壊死組織切除を行い、二次治癒を目指します。 - 再発例への対応
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CTAまたはMRAでshaggy aortaや動脈病変の範囲を診断します。
腹部大動脈から腸骨動脈に限局した再発例では人工血管置換術が相対適応となります。
図1. 粥状硬化症の大動脈腸骨動脈の内面
多数の粥状硬化巣が顔を出し、表面に血栓沈着をみる