血管外科医 笹嶋唯博 MD,PhD. Tadahiro Sasajima MD,PhD.

足趾壊疽は血管移植手術により確実に下肢が救済されます。

糖尿病壊疽に対する血管移植手術は、足首以下(足の甲または足の裏)の太さ1mm前後の細い動脈に血管が移植されます。

糖尿病・維持透析例の足趾壊疽の詳しい説明はこちらをご覧ください

2012〜2017年までの4年半の治療成績
4年間で全国から来院された342人、401肢に下肢救済手術を行いました。

※数値は例数

北海道
1
青森県岩手県
31
宮城県山形県
12
福島県
2
新潟県富山県
12
埼玉県群馬県
232
茨城県千葉県
555
江戸川区東京他区
83109
神奈川県
11
山梨県静岡県
27
愛知県岐阜県
51
三重県奈良県
21
大阪府兵庫県
111
岡山県広島県
21
愛媛県
2
大分県長崎県
11
鹿児島県
1
沖縄県
2
シンガポール
1
342例の内訳
切断回避率 手術死亡率
閉塞性動脈硬化症(ASO) 303 94% 2.4%
糖尿病 257(85%)
血液透析 211(70%)
バージャー病(TAO) 8 100% 0
膠原病随伴血管炎 11 100% 0
膝窩動脈外膜嚢腫・捕捉症候群 6 100% 0
末梢動脈瘤・膝窩動脈瘤 4 100% 0
血管外傷 4 1例 0
急性動脈閉塞(血栓症・塞栓症) 6 100% 0
虚血重症度(419肢)
間欠性跛行 66(16%)
安静時疼痛 31(7%)
小潰瘍壊疽 159(38%)
広範壊疽 163(39%)

著名な方々の治療例

渡部 又兵衛 様(ザ・ニュースペーパー)
渡部又兵衛様
お笑い芸人糖尿病と二人連れ

又兵衛様は、コント集団「ザ・ニュースペーパー」のリーダーで、その奇知に富んだ政治風刺は現代のチャップリンを彷彿とさせるものがあります。舞台はもとよりテレビ、ラジオ、講演などで幅広くご活躍のことは皆様ご存じの通りですが、自叙伝の「お笑い芸人 糖尿病と二人連れ」を出版され、多くの人々に糖尿病の恐ろしさを啓発されました。

又兵衛様は自叙伝にある通り、2004年、糖尿病足壊疽で左下肢膝下切断を受けられています。2014年、今度は右足趾広範壊疽を発症し、さらに義足をつけている左膝下切断端潰瘍を形成して、右下肢膝下切断に加えて左下肢膝上切断の危機にみまわれました。治療は、右下肢を救済し、また左膝上切断を回避するため2014年6月、下記の 両下肢血管移植手術を同時に行いました。
1)右下肢:大腿+膝下膝窩動脈バイパス+膝下膝窩-総足底動脈バイパス
2)左下肢: 大腿-膝上膝窩動脈置換術

右下肢は膝窩動脈と膝下~足部動脈閉塞があり、1)のような2つのバイパスが同時に行われました。左下肢切断端潰瘍は膝窩動脈が狭くなって切断端の血行障害を発生したことが原因でしたので、断端血行を改善させるため2)の血管移植手術を行いました。両下肢同時血管移植術のため手術時間は7時間以上におよびました。
手術後の経過は左切断端の潰瘍が容易には治らず、それによる歩行制限のため2年後に右下肢の総足底動脈バイパスが閉塞して右足趾潰瘍の再発を来しました。そのため2016年3月、下記の右下肢バイパス再手術を行いました。
3)右下肢膝窩部バイパスグラフト-足背動脈バイパス
これにより再発した右足趾潰瘍・壊疽は急速に治癒に向かい、同時に左断端潰瘍も漸く治って、歩行が可能となりました。左義足はソケットが緩くなっており、それが潰瘍形成の一因になっていたことから、京都医療センター糖尿病内科、フットケアセンター 河野茂夫先生にお願いして義足の修復をしていただきました。バイパスは自力歩行により長持ちしますが、歩行障害がある場合は、2年以内に20%位の頻度でバイパスの異常を発生します。

以上、又兵衛様の治療は完治まで長い経過でしたが、現在は両下肢とも潰瘍・壊疽が完治し、血行障害から完全に解放されて、多方面でご活躍中であることは皆様ご存じの通りです。

エム ナマエ 様(イラストレーター)
エムナマエ様
サニーデイズサニーデイズ

エムナマエ様は国内・外でご活躍中のイラストレーターで、その独特の画風は子供だけで無く全ての人の心を和ませてくれる素晴らしさがあります。

2005年に糖尿病による右足趾壊疽と左足部重症虚血を発症し、両下肢切断の危機に見まわれ、バイパス手術を受けられました。太ももと膝下~足部の動脈に病変があり、2005年7月に右下肢、次いで2週間後に左下肢へのバイパス手術を受けられました。
手術法は、両下肢共に大腿-膝下膝窩-足背動脈バイパスです。
膝窩動脈と足背動脈の2カ所に同時に血管移植を行いましたが、この手術は長期間あらゆる血行障害の症状が出現しないように工夫したもので、膝下膝窩動脈へのバイパスは間欠性跛行(歩行によりふくらはぎが痛くなる症状)の防止、足背動脈へのバイパスは足部血行障害による足趾壊疽の発生を防止するためです。

ナマエ様は歩行能力が高いため、12年が経過した今も、バイパスの異常はもとより、何らの下肢血行障害の症状を発生することなく極めて順調に経過しており、国内・外でご活躍であることは皆様ご存じの通りです。
エム ナマエ様公式サイト

※本解説はご本人およびご家族様のご承諾を得ております。