急性動脈閉塞症の治療
急性動脈閉塞症は下肢動脈が突然閉塞し、重症虚血を発生して、緊急に血行再建術をしなければ下肢は救済できません。
塞栓症と血栓症があり、前者は下肢動脈自体には病変がなく、心臓や大動脈から遊離した血栓(血の塊)が動脈を塞ぎます。後者はもともと下肢動脈に病変があり、それがもとで下肢動脈に血栓を作って動脈を塞ぎます。血栓の大きさにもよりますが、10mmの大きさの血栓が太ももの付け根の動脈を詰まらせた場合には前者の方が重症で6~8時間以内に血流を再開できなければ下肢は膝上から切断になります(A)。
急性動脈閉塞でも閉塞した動脈を迂回して細い血行路が温存され、緊急手術をしないのに切断を免れることがあります。
血栓症ではもともと動脈病変があるため側副血行路が発達していることがあり、そのため血行障害の程度が軽くなり、数日を経過すると逆に血行障害が改善に向かいます。これは急性動脈閉塞症の慢性化といわれ、もはや緊急手術の必要はありません。急性動脈閉塞症と診断されてから数週間経過しても足が壊疽にならない例がそれです。
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- A:左下肢急性塞栓症
78才、女性。左下肢塞栓症による急性血行障害。
発症後4時間経過し、左下肢は高度の疼痛で発症し、知覚麻痺、運動麻痺を発生し、左下肢全体が高度のチアノーゼを呈する。
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- B:急性塞栓症の手術で摘出された血栓
64才、男性。塞栓症の手術で摘出された血栓。
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